2020年5月1日金曜日

NFJのPCM2704DACにFET differential active low pass filter buffer を実装する

FET differential active low pass filter buffer
いやぁ、こうやって書くと長いね。
頭文字をとると。F.D.A.L.P.F.B
FDALPFB !?
ぬぬ、かえってわからない。略するのはやめたほうが良いみたい。

そもそもこれの作例はNFJのじゃなくて秋月のPCM2704を使った安価なUSBDACを使って高音質なUSBDACにしたててしまおうという企画から始まったもの。


秋月のDACはLPFが実装されてなく、バッファも省略されているというとっても素の状態のもの
ところで、自分が買ったPCM2704なDACキットは秋月のものではなくNFJのものだが、基本的な構成は似ている、そしてNFJのものはスイッチでUSBからのバスパワーと外部電源を使ったセルフパワーの切り替えが可能といったスグレモノ。
しかもとってもお安い。


なので、これを使って”ぺるけ”師匠と同じような高音質DACをでっち上げてしまいたいという魂胆で作り始めたのです。
最初は、LCのLowPassFilterをつけたのみで使っていました。

制作記事 PCM2704 NFJ kit のセラコンをフィルムに変更
ですが、、、、出力電圧が控えめなことと、やはりというか、”ぺるけ”師匠の作り出す音が聴いてみたくなってきました。

Active LowPass Filter Bufferの構成としてはDAC出力からLCRのLowPassフィルタを通って2SK170(2SK117)を使った差動構成のFET、これに帰還型のactiveフィルタを通すものそして高域の歪を抑えるために2SC1815Yのエミッタフォロワを付加しています。
引用:http://www.op316.com/tubes/lpcd/fet-dac2.htm

LCRの定数はL=2.7mH、C=0.01μF、R=470Ωとなっています。カットオフ周波数は30.6kHzとなります。15kHz超えたあたりから少しだけ盛り上がりがあります。

Active filterの定数は、2.7kΩと1500pFの帰還型になりカットオフ周波数はは39.3kHzになります。

このバッファアンプに必要な電源は、プラス側約19V、定電流用としてマイナス側に約5Vが必要です。このアンバランスな電源が意外と厄介だったりします。ある程度均等に電流を消費するプラスマイナス両電源ならば仮想グランド形式のものが使えますがここではそうもいきません。DACの電源も同時に賄うので消費電流アンバランスなのです。

本当はDAC部分は、別に電源を用意するとか対策を講じなければいけないのですが。
”ぺるけ”師匠の作例では24Vの単電源から抵抗による分圧で-5.5Vを作っています。
これは、バッファアンプにしか電流をまわさず、消費電流も少ないために使える技です。DAC部分の電源も兼ねるとするとおそらく100mA程度の消費電流になってしまいます。

さてどうしましょうか。。。
手元には、一応24V900mAの電源アダプタがあります。DACへの供給は12Vなので、こっちはシリーズレギュレータ―で降圧すればよさそう。
マイナス電源はどうしようか・・・・
絶縁型のコンバーターを使う手もあるけど、ほんの数ミリAのために使うのもなぁ。
やっぱり、ここはあんまりスマートじゃないけれどもダイオードの順電圧を使うとしますか。

ダイオードの順電圧を使う方法ならば、ある程度のブリーダー電流を流しておけば安定したマイナス電圧を確保できる。ということはプラス側の電圧も変動しにくいということになる。ちなみに5.5Vの順電圧を得ようとすると、1N4007ひとつで約0.7Vだとすると5.5÷0.7で≒8ということになる。
えぇっ8個も直列にするの!?って思うのは普通だと思う。でも、他に簡単なやり方を知らない。シャントレギュレータをトランジスタで電流を補強して使うやり方もあるかもしれないけれども、実際の回路の想像がつかない。
なので、やっぱりシリコンダイオード直列で8個で行こうと思う。

ということで、回路図から配線図を起こしてみました。
そうそう、ここで使うFETは特性のそろったペアを使わなければいけないのです。いまや2SK170はなかなか手に入らないうえに選別が必要となれば、それこそ頒布に頼るしかなくなってしまいます。
そこで、救世主登場とばかりに2SK2145の登場です。デュアルFET構成で特性は2SK117に似ているそうです。秋月で現行品なので、手に入りやすいです。

今回はこれを使いました。ただし表面実装ですので変換基板に載せて6ピンのICソケットに挿してつかいます。

大きさは、秋月のC基板です。これなら今使っているケースの空き部分になんとか押し込めそうです。


まずは電源部分だけを作って動作確認してみることにします。
きちんとマイナス電圧(若干高め)ができています。レギュレータの後も12Vがでており、V+は約18Vと期待された電圧が出ています。

次に右チャンネルだけを配線して動作確認です。
せっせとくみ上げていきます。
右チャンネルが完成して2SC1815Yのエミッタ電圧をみてみると6.08Vでした。
まぁまぁ。ちゃんと動作しているようです。
この状態で確認のため一度音出しをしてみます。入力にはiPodを使いこの後にヘッドフォンアンプをつないできちんと音が出ることを確認しました。
それでは続きを・・・
左チャンネルも作ってひとまずFET差動ActiveFilterBuffer部分は完成です。

電源をつないで、左チャンネルの2SK2145、ドレイン電圧を測ってみます。
7.20Vでした。


PCM2704DACをつないだ時の各部の電圧は。
R ch FET D  6.67V (D:ドレイン)
R ch Tr. E    6.03V (E:エミッタ)
R ch C-      -6.24V
R ch C- R   -4.98V (R:220Ωの後)
R ch V+      17.68V
R ch V+ R   16.46V (R:220Ωの後)
C-はダイオード8個では多すぎたようです、多分7個でちょうど設計値の5.5Vに収まるようです。一個ショートするだけでよいのですが、今回はこのままにして組み上げてみます。

なんとか、既存のケースに収まりました。


いま、この音を聴いているのだけれども、じつに、”いい”んです。
この音はなんだろう、たぶん自分で作ったという愛着とプラシーボ入っているとは思うんだけど。
ずっと聴いていても疲れない音と言ったらいいのだろうか?

特性はまだ測っていないのだけれどもね。なんだか、それをしなくてもいいと思えてしまうほど。”ぺるけ”師匠、さすがです。って思わず口ずさんでいました。。


しばらくは、ケースの天板をはずしたままで、満足感に浸りながら、聴いていることにしよう。これぞ自作の醍醐味!!

そいじゃまたね。

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