2021年8月11日水曜日

CSPPという選択肢 ①

CSPP方式ヘッドフォンアンプを作る

CSPPとは・・・:クロスシャントプッシュプルというもの
SEPPは電子工作をしているとよく目にするし作ってきたけれど、CSPPは馴染みがありませんでした。バランス入力でバランス出力。いままで作ったものではバランス出力のものがありませんでした。

俄然、興味がそそられました。

今回は回路の勉強も兼ねて、まずは人まねから入ってみることにしました。
いわゆる追試というやつですね。

参考にしたのは、こちらのサイトです。

USBヘッドホンアンプII(1)構想

オリジナルの回路からちょっと書き方を変えて(出力段のトランジスタも手持ちのものに変えてあります)、従来のSEPP風にしてみました。この並びだと少しは理解できるような錯覚に陥ります(笑)

・・・・

なにやら各電源のGrand側が交差してますね。
クロス・・・・じゃぁ次のシャントは、? まぁいいや。なかなか理解に時間がかかるところがあります。

初段のJFETは2SK303 V3でIDSSが2mA程度のものを使います。
IDSSが小さいものを使う意味は、ここの電流と負荷抵抗で出力段のバイアスが決まります。ドレイン抵抗(負荷抵抗)を高く設定できればここでGainを稼ぐことができます。このGainは出力段のコレクタからソース直結ですので100%負帰還となり、そこで使われるので、Gainを高くできれば歪率等の特性への貢献が期待できるということです。・・・・この理解で合ってるのだろうか・・・・たぶんこんな感じだろうと思いますが自信がありません・・・・

さて、IDSSが2mAとすると2SA1859のベース電流を無視すると(無視できないのだがとりあえず)680Ω両端の電圧は680×0.002=1.36V
2SA1859のVBEが0.65Vと仮定すると10Ω両端には1.36-0.65=0.71V
アイドル電流は0.71÷10=0.071A(71mA)

ブレッドボードに回路を組んでこの辺を確かめてみます。

当初2SA1859ではなくて、小型の2SB772を使ってみたのですが・・・・
10Ω両端が1.5Vつまり150mAとなりおかしいなと思って680Ω両端を急いで測ってみると、なんと5.9Vとありえない電圧 (^_^;) 回路を間違ったかなと思い調べても間違いなし。。。。
おそらく発振していたのだと思います。2SB772のhFEは288・・・2SA1859は150前後・・・この辺が関係しているのかもしれません。

・・・・追記・・・・
発振ではありませんでした。
何のことはない、2SB772のところに2SD882が混じっていました。PNPのところにNPNトランジスタをつけていたわけです。動くはずがありません。。。お恥ずかしい(-_-;)
・・・・追記終わり・・・・

まずは2SA1859・・・これで試してみることにします。

エミッタの10Ω両端の電圧を測ってみます。

アイドル電流は61.6mAといったところでしょうか。計算値に近いですね。若干異なるのはベース電流の影響,VBE(0.65Vと仮定)の違いのせいです。

ちなみに2SK303のドレイン抵抗(680Ω)両端の電圧は

1.259Vでした。負荷抵抗に流れている電流は2.24mAとなりました。あれIDSSは2.2mAのものを使ったのでもう少し低くなるはずですが・・・まぁ、このくらいでしょう。

さて、初段の2SK303にはもう一つ仕事があります。それは出力段の温度上昇による暴走を防ぐこと。温度が上がるとVBEは下がりそれに伴いコレクタ電流が増えてしまいます。バイアスを下げる働きのある素子が必要になります。それにはJFETには温度係数、負の特性を持つ領域があることを利用します。うまいこと考えたものです・・・・

2SK303のデータシートから

-0.3V以上のVGSは温度が上がればドレイン電流が減る領域、つまり温度係数が負の領域です。今回は、キルヒホッフの法則からJFETのソース電圧はGrandと同じになりゼロバイアス(なんかこの辺もよく理解していないのですが・・・・)の状態で使うようになっていると思うので温度係数は負の領域となります。

さて、ブレッドボードで片チャンネル分のCSPPバッファを組んだわけですから、ちょっと特性を確かめてみることにします。

100kHzの矩形波をバランス入力したときの波形です。



ちょっとオーバーシュートがでています・・・・発振につながるような波形ではないとおもうのでこのままでもよいかな・・・・・

試しに入力にLPFを入れFCを1MHz程度にしてみました。

ちょっとだけ良くなっていますかねぇ・・・

ちなみにFCを100kHz程度としてみると

DACの後に繋ぐならこのぐらいの定数となりますでしょうか・・・・

ファンクションジェネレーターをつないで周波数特性をみてみました。

赤のラインはファンクションジェネレーターからの直接出力したものです。
自作のファンクションジェネレータと交流電圧計で書いたグラフです。測定できる帯域が1Mhz程度と、あまり広くないのであくまで参考までといったところですが、、、まぁ一応傾向程度はつかめると思います。

FC100kHz程度にした定数だとCSPP後の特性もオレンジのライン程度になりました。
DACの後に繋ぐバランスアンプとして使うならやはりこのくらいでしょう。

青のラインはFCを1MHz程度の定数にしたものです。ヘッドフォンバッファアンプとして単体で使うときはこのぐらいがよさそうです。

負荷ごとの歪率をみてみました。負荷を無負荷と持っているヘッドフォンに合わせて100Ω、47Ωで測ってみました。0dbFS=2Vrmsでの測定です。

青の線は0dbV(1Vrms)のラインです。全体的に、あまり優秀とは言えないような特性(おそらくこれは回路方式というよりは測定環境に起因する問題が多いのでは?と考えています。測定時のノイズとか・・・きちんとした環境で測ればもっとTHD+Nが下がりそう)ですが歪率が0.01%~0.06%の範囲で常用するようになるので、まあまあ使えるのじゃないでしょうか。。。

さてさて、どんな音がするのでしょうか?
聴くのが楽しみになってきました。

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