2021年7月23日金曜日

ESSのDACチップにつなぐIVC 6

I2S ES9038q2mにIVC

LANケーブルを使ってraspberryPiとES9038q2mをI2S接続しているDACがあります。
これの差動合成回路を今回検討しているIVCにしてみます。

ES9038q2mから電流出力を取り出します

極性がわからないのですが、差動合成につながるパターンをみてあたりをつけます。

レギュレータにつながる電解コンデンサを交換

もともとの差動合成の部分に二階建てでIVCボードを設置したいので、レギュレータの電解コンデンサをチップセラミックの47μF16Vに交換して高さを低くしました。
ESRが低いのでレギュレータがご機嫌を損ねるのがちょっと怖かったのですが、大丈夫だったようです。

こんな感じに仮設置してみました。

ただ、電源部が555を使ったチャージポンプ方式なのでグランドがIVCとES9038q2mとで分離できません。なので、I/V変換後の出力にオフセットがでることになります。
その後の差動合成でオフセット分はキャンセルされるので最終的にはオフセットは出ないはずなのですが・・・・・

RCA出力部オフセット

Rチャンネル:+4.7mV
Lチャンネル:-9.0mV

となってしまいました。10mV以下なので、まぁ許せる範囲とは思いますが気持ち悪いのでLチャンネルのオフセットを少なくします。

それには

I/V変換抵抗である820Ωを選別します。実測して同じ抵抗値のものを使います。

”実際に外して測ってみると、抵抗値が約4Ω程度異なっていました(Lチャンネル)”

これを選別して値をあわせることによりオフセットがなくなるはずです。

最終的なオフセット

Lチャンネル:I/V変換IC1番ピン -1.699V,7番ピン -1.701V
差動合成後:+3.2mV
Rチャンネル:I/V変換IC1番ピン -1.703V,7番ピン -1.699V
差動合成後:+3.9mV
となりました。
ふぅ(笑)

チャージポンプの最適化

IC3つを使っているので電流が今までの3倍になりました。なのでチャージポンプがあっぷあっぷで電圧降下状態でした。
測ってみると-8.5V・+10.4Vです。電源部をグランドフロートにできるMCW03シリーズを使ったDCDCで作り変えようとも思っていたのですが・・・・チャージポンプ方式のものの方が電源ノイズをなんとかしやすいのであがいてみることにしました。

実は作り直すのが面倒だっただけ・・・・(^^;;

現状

電子負荷で40mAの負荷を与えたら・・・7.91Vまで下がってしまいました。。。。
発信周波数は≒100kHzです。

チャージポンプの1μFを4.7μFに増量・発振周波数を上げるために2200pFのコンデンサを1000pFにしました。これで200kHz付近になるはず。。
大体予想通り・・・
40mA負荷の時の出力電圧は・・・・
電子負荷で8.77Vまで上がりました。1V近くの改善です。。まぁ今回はこれで勘弁しときましょう(笑)

レイアウト


デジタルアイソレータの配置を変えたりして少しスッキリさせました。

出力特性

さてさて、先のES9018k2mではIVCにトランス電源を使いDAC部とグランドは分離でした。それに対して今回はチャージポンプを使ったスイッチング電源でDAC部とのグランドも共通です。かなり不利な状態だと思いますが・・・・・

おそるおそる特性を確認してみました。結果はこれです・・・
左側が今回のES9038q2mのものです。ES9018k2mよりも歪率が減っています。9038は9018と比べやっぱり進化している!!
スイッチング電源ですが、なかなか検討しています。
ちょっと嬉しいですね。。。

ちなみに、出力も若干上がって0dBFSで2.05Vrmsとなりました。
目標が2Vrmsだったので、これでやっと標準の出力電圧になりました。

2021年7月22日木曜日

ESSのDACチップにつなぐIVC 5

オペアンプ版IVCの特性をオリジナルと比較したくなりました

ということで、ES9018k2mボードをノーマルの差動合成が動くように元に戻します。
オペアンプはJRC5532Dです。入力の2,3,5,6ピンに続くチップ抵抗4つを再度はんだ付け、両電源に繋がるところは47μFのコンデンサを装着しました。

測定

WaveGeneの出力は別のPC(ノート)にしました。
WaveGeneとWaveSpectraで同じPCを使うとどうしても出力~入力で大きめのグラウンドループができてしまいます。そうするとグラウンドノイズレベルが上がってしまいます。

歪率

グラフを並べてみました。歪率は前回と違ってTHD+Nの値を使っています。

0dbFS:2.40Vrms                1.81Vrms

左がオリジナルの差動合成、右が今回のオペアンプIVCです。
オペアンプIVCでは素直に右肩下がりのグラフですが、オリジナルの方ではー10dbを超えたあたりからあきらかに歪が増えてきてしまっているのがわかります。
こうやってみると、やはり今回のオペアンプIVCのほうが特性は良いようです。

周波数特性


青グラフがオリジナルの差動合成回路なのですが、15kHzを超えたあたりからほんの少しだけですが盛り上がりがあります。そしてLPFが効き始めるのは80kHz付近から。。。かなりLPFの効きを緩くしている感じがします。
それに対して、オペアンプIVCのほうは効き始めが15kHz程度からでー3dbは70kHz付近です。LPFがきちんと仕事をしているのがみてとれます。ただ、可聴域上限の20kHzでもー0.29dbでしたのでフラットにするにはもう少し定数を調整する必要があるかもしれません。

ということで・・・

特性を知ってしまったら、いままでのES9038q2mDACの差動合成回路をIVCで作り直ししたくなってきてしまいました。ちょっと聴いただけではなかなか区別はつかないのかもしれませんが、知ってしまうと気になりますよね・・・・
問題は電源をどうするかです。IVCで別基板を作ると電源も別にしたくなります。そうするとDACだけでも3電源(+12V,-12V,+5V)欲しくなります。
グランドを分離するのがよいので、そうなると・・・・トランス~整流~レギュレータ式がやりやすい。こうしてだんだん回路規模が大きくなっていくんだろうなぁ。という予感がします。。。



2021年7月20日火曜日

ESSのDACチップにつなぐIVC 4

このIV変換を入れた差動合成回路。。。
先の記事のグラフではなんだか期待が持てそうな感じでした。
それで、ユニバーサル基板に組んでみるかどうか迷っていましたが・・・・・

どうやらPasSで作図していたところをみると、実はやる気満々のようです。(笑)
ということでサクッと作ってしまうことにします。
どんな音を聴かせてくれるのでしょう??楽しみです。

秋月C基板

今回の回路規模だとC基板で入ると思うので、これに組んでいきます。

グランドとチップコンデンサ

グランドはちょっと太めの銅線を使ってみます。
パスコン0.1μF,LPFのコンデンサはチップコンデンサを使いました。
写真は2012サイズ0.1μF(B特性)1608サイズの2700pF(C0G)小さい(笑)

実装

右側にだいぶ広い空き地ができました。。。切断して小さくしても良いのですが・・・

PaSs配線イメージ

PaaSで配線を考えていたので、実際に組むのはそんなに時間かかりません。
オペアンプの電源配線がありませんが、それは・・・・

電源部分

こんな感じになりました。電源部分は仮配線ということで最初はUAEでつなごうかと思っていたのです。でも、今回はコンデンサの足の根元からそれぞれに26AWGの被覆線でつないでみました。

ES9018k2m基板からの接続

あ、これ、接続の極性間違ってるんです。。。IVが反転・差動合成も反転なので入力は非反転で出力されます。なのでDACの出力極性どおりに出力されます。
この接続だと反転されて出てきます。。。。
まぁ聴いてわかるもんじゃないですけれど・・・・

IVC回路消費電流

+側

-側
消費電流は±12V供給で、+側が26.6mA、-側がちょっと多い36.6mAでした。
オペアンプ3つなのでまぁこんなものでしょう。

実際に組むときのトランス容量は0.1Ax2巻き線あれば間に合いそう?!
HTW-1201とか。



2021年7月19日月曜日

ESSのDACチップにつなぐIVC 3

バラックの状態で出力特性をとってみましたが、比較するものがないとこれが良いんだか悪いんだかわかりません。

そこで、ES9038q2mをUSBDACに仕立てたものと比較してみることにしました。こちらは電圧出力をオペアンプ1つでLPFと差動合成をしているものです。コンデンサをチップからスチロールへ、電源は両電源として電解コンデンサのところに定電圧回路を付加するなどして高音質化を模索したものです。オペアンプは5532からLME49720に変更してあります。

グラフをならべてみました


0dBFSの時の歪率は今回のIVCのほうが優秀です。同じ土俵での比較ではないのでなんとも言えないところですが、アナログ回路は今回のIVCを使った方が素直な音がしそうではありますね。

左グラフIVC変換回路のブレッドボード版



右グラフES9038q2mのUSBDAC差動合成


測定環境

  1. PC
    1. Windows10
    2. ASRock H110 Pro BTC+
    3. Celeron 5Gene
  2. アナログ入力デバイス
    • USB Sound Blaster Digital Music Premium HD 型番:SB-DM-PHD
  3. ソフトウエア
    1. 信号発生:WaveGene
      • 96kHz 32bit
    2. スペクトラムアナライザ:WaveSpectra
      • 96kHz 32bit,休止時間500ms,Blackman-Harris,sample:32768,レンジ140dB,描画方法:Image1

2021年7月17日土曜日

ESSのDACチップにつなぐIVC 2

IVCを考える

オペアンプを使った簡単な回路でESSのES9018k2mあたりを電流出力でうけてIV変換をおこなってみようという試みです。前回載せた定数をもとにブレッドボードで組んで試してみようと思っていましたが、LPFをアクティブ1次フィルタと簡略化したために前回の定数だと可聴域の20kHzでもー0.8dB程度の減衰があることに気が付きました。

定数を変更

ES9018k2mの0dBFS出力電流1.3mArmsをIV抵抗820Ωで受けるので電圧は2.1Vrmsとなります。これを後段の差動合成で0.92倍して2Vrmsに近づけます。これにより仕上がりは-3dB 82kHz 出力1.93Vrmsとなる予定ですが、うまくいくでしょうか。
これで試してみることにします。

ES9018k2mからの出力の極性は、(2021/7/19訂正)

※データシートより・・・画像はアナログ出力が右に来るように回転

ーLout
+Lout
ーRout
+Rout
となっているようだ。。。
なので、そこからリード線を引き出す・・・
※極性注意(;'∀')

そして
IVCの部分をブレッドボードで組み立てて、接続を試みる。
HPFの2700pFのリード部品がなかったので、とりあえずの3300pFとした。
電源はMCWシリーズの±15Vバーションのもの
https://akizukidenshi.com/download/MCW03.pdf

測定構成

WaveGenerator → AmaneroCombo386 → ES9018k2m:作動出力 → 上記IVC → WaveSpecrum=交流電圧計



IV変換後の電圧:アイドル状態で
オペアンプ1番ピン,7番ピンの電圧:-1.593V,-1.595でした。
ということは、ES9018k2mのオフセット電流は、-1.595/820=1.95mA
となりました。やはり約2mAといったところですね。

測定構成での歪率


横軸の最右が0dBFS(1.81V)となっています。
バラック状態での測定のため、とりあえず傾向を探るためにということでみてみました。
1kHz,100Hzでは-6dBあたりがもっとも歪が少ない結果となりました。
-6dBから上は微妙に増えています。
10kHzでは-30dB以上では歪率が増えてきてしまっています。オペアンプを変えてみましたが、傾向は変わらないようです。
もしかすると、このあたりが・・・オペアンプIVCとES9018k2mの組み合わせがあまりない所以・・・・?なのかもしれない。。わからんけど・・・


周波数特性

-3dBラインは計算通り
まあ、こんなもんでしょう・・・・

PaSsでの基盤イメージ

すべて2回路のオペアンプを使うとL,Rの2チャンネルで3個ですみます。
電源は±15Vを使用する予定、右側の空き地に定電圧回路を組むかは思案中・・・


パスコンはチップコンデンサを使う予定(C0G属性0.1μF)
うまく使って簡易IVCとして使い回しできるようにしておこうかな・・・・

2021年7月14日水曜日

ESSのDACチップにつなぐIVC 1

ESSのDACチップは差動出力で電流出力、電圧出力どちらにもつかえる・・・
(高抵抗で受ければ電圧出力、低抵抗で受ければ電流出力だそう)
この仕様のおかげで、お安い中華ボードでは電圧出力として差動合成・LPFを1つのオペアンプに任せる仕様としている

電圧出力
ES90xx??? → 差動合成・LPF → RCA出力

基板から回路図を追ってみると・・・・
これを、電流出力で使うとしたら
ES90xx??? → 電流電圧変換(IVC) → 差動構成・LPF → RCA出力

となるはずなのですが・・・・
オペアンプを電流入力で使っているものはなかなか見当たらない。。ということはあまり美味しくない方法なのかもしれないのですが、ちょっと勉強も兼ねて実験してみようと思う。

そこで、ネットでIVCの回路を調べていたら。

PCM17xxシリーズのIVCがメジャーどころなようだ


引用:PCM1794データシートより
LPF:-3dB:1段目:96.46kHz,2段目:270kHz,0.48倍
LPF計算:https://xn--p8jqu4215bemxd.com/archives/1729#LPF

こちらにはES9038q2mを電流出力として使っている回路

http://0918.jp/wp/post-1437/
回路図一部抜粋掲載
LPF:-3dB:1段目:71.89kHz,2段目:62.45kHz,0.91倍
LPF計算:http://sim.okawa-denshi.jp/OPtazyuLowkeisan.htm


そしてこちらがお気楽さんの公開しているIVC回路

主にBBのPCM17xxシリーズ用だと思う。

IV変換:R1,C1=680ohm,2200pF
合成:R9,C5=620ohm,2200pF:R7=620ohm
R3,R5,C3,C4=360,360ohm,6800,6800pF

LPFとしての特性は・・・・・





ES9018k2mの電流出力仕様

http://blog.livedoor.jp/yamazaki_plan/archives/1607150.html
をみると
オフセットが2mA,電流出力が1.3mArmsということらしいので
出力を2Vrmsとするならば受けるIV抵抗値は・・・・
片側:1Vrms÷1.3mA≒770Ω程度ずつということになる。

そこで、簡単に以下の定数として試してみることにした。

回路図

770Ωの抵抗はないので近いところで820Ωとする。。出力は大体2.1Vrms程度になる予定。

ブレッドボードに片チャンネルだけ組んでみることにしよう。

つづく・・・・・

2021年7月11日日曜日

AK4490EQ 基板kitのアナログ電源 2

アナログ部の電源は仮の実験用基板を使っていたので、ちゃんと!?ユニバーサル基板で作ることにした。トランスに2巻線のものを準備したので、レギュレータは正側のものだけで済む。それで、前に間違って買ったLM317Mを使って組むことにしてみた。


回路はLM317Mデータシート


回路図


データシートの回路を2段重ねにして正負電圧をとれるようにした。この後にTL431を使用した定電圧回路を追加できるように片側に寄せた基板レイアウトにしてみたが・・・・実際に組むかどうかは不確実

今回の回路ではブリッジ整流の後にフェライトビーズ(BLM21PG331SN1)を入れてみた100MHzで330Ωのインピーダンスを持つもので、ダイオードのスイッチングノイズ除去の効果を狙ってみたがどうなんでしょうか??気休め程度ではあると思いますが・・・・

他は、データシート通りで特記すべきことなし・・・・


PaSs基板イメージ

空き地スペースには気が向いたらもう一段定電圧回路を組むかもしれない。。。


制作基板

出来上がりはこんな感じになった。LM317Mは表面実装部品なので銅シートを貼ってそこに出力端子をはんだした。これにより放熱も兼ねているのでいい感じに。。。

LM317M放熱設計

参考ページ
https://fscdn.rohm.com/jp/products/databook/applinote/ic/power/linear_regulator/three_terminal_heatsink_appli-j.pdf



アナログ部使用トランス:TOYOZUMI HTW-1502

実測値

小型トランスなので実測値をメモっておくことにした。
数値はAK4490EQ基板に入力した後の電源部の電圧
  • 整流前:トランス出力AC電圧
    100Vタップ:17.71~17.92V
    110Vタップ:16.18~16.39V
  • 整流後:Bridgeダイオード後DC電圧
    100Vタップ:22.2V~22.8V
    110Vタップ:20.4~20.9V
  • 負荷:+側47.7mA~ー側24.6mA
AC入力を110Vタップで使用、LM317Mでの損失が5V程度に抑えられ発熱が減る。


デジタル部使用トランス:TOYOZUMI HTW-9005

AK4490EQの駆動用にAC9Vの入力が必要。実際の消費電流を計測してみたところ
27mA程度の消費電流であったためこのトランスでも問題ない。

バラック


1kHz入力時歪率、フロアノイズ

オペアンプは好みの問題で、標準のJRC5534からFET入力のTL071に交換してある。
PCとの接続はUSBで特段アイソレートはしていないが、フロアノイズはー120dB程度なので特に必要はなさそう。

音出し

最初の音出しは悲惨でした・・・・やってしまった感満載(笑)
低音部がボワボワ。
これはTL071のエージング不足?!だろうということで、音を流しっぱなしにしといた。
翌日にはだいぶ良くなって低音部が締まってきて中音部は透き通ってきた。
これなら良いかな。。。
オペアンプ変えてしまったので電源の聴き比べできないですね。だめだね我慢できないって・・・だけど、そもそも実験用電源ではNJM7812,7912の3端子レギュレータ、今回はLM317Mだったので3端子レギュレータ電源には変わりない。だから、変わらないだろうと。。。の思いでした。
なので、主に音の変化はオペアンプ変更による変化だな。
まぁ、このボード、AK4490EQの傾向かもしれないが共通して感じることは、重心が下がった感じがする。気のせいかなぁ??