2021年4月29日木曜日

TDA7297アンプを作る Part8 :ちょっと特性を測ってみた

出来上がって、数日TDA7297アンプの聴いていました。最初の印象としては、刺々しさがなく素直な感じで好きな音の部類に入るなと思いました。

低音域がかなりボリューミィに聴こえます。少し膨らみすぎな所がありましたが、日をおうごとにだんだん良い方向に変わってきました。そう、だんだんとタイトにしまってきました。

100円そこそこのアンプ基板から出てくる音ではないですねこれ・・・・


特性を測ってみる

周波数特性

何の変哲も無い特性ですが・・・・

アンプ基板の入力カップリングコンデンサを0.22uFから1uFにしているので低域の確保はできていますね。大体5Hz〜160kHz程度が-3dB以内に収まっています。周波数特性としては十分な帯域幅です。

最大出力

ノンクリップの時の出力電圧が

負荷としたダミーロードは6.8Ωですので

ノンクリップ出力:7.73W(7.25/6.8*7.25=7.73W)
歪率1%:9.04W
歪率10%:13.0W

となりました。ICにかかる電源電圧が最終的に13.5V程度と15Vには若干届いていないので、まあ妥当な出力だと思います。

電源部ノイズ

1kHzの正弦波を入力しダミーロードをつけた状態でTDA7298に入力される電源電圧部分にオシロスコープのプローブを設置

ノンクリップ最大出力付近の7.28V出力時の電源電圧部

1kHzに入力信号が載っています。0.5mV /Divなので、2mV程度ですね。スイッチングノイズはかなり低いレベルに抑えられているようです。

ちなみに無負荷時のフロアノイズ

70kHz付近に0.6mV程度のノイズが見えますが、実はこれ電源をOFFにしてもあるので、スイッチング電源によるものではないようです。電源部のみで測った時にみられた60kHzのノイズはほとんど見えないくらいです。Filterと電源部の7815,MOSFETがちゃんと仕事しているということでしょうか・・・・

さて、測定もここまでなので、ケースに固定することにします。

今回は・・・・両面テープ使用・・・・^^;

これでも、結構ぎっちり固定されますね。ケース再利用とか考えなければちゃんとネジ止めしたほうがいいことは言わずもがなですねぇ。。。

今回の作例で重要なのは、アンプ部というよりは、TDA7297へ供給する電源部を定電圧回路としたこと。おさらいをすると。

接触不良の20V3.5Aアダプタを殻割して内臓おっと内蔵基板を取り出し使用

まず、スイッチング電源からフェライトコアを経由して

チップフェライトビーズとLCの2段フィルターへ・・・・

フィルタ出力は19.5Vとなった。
TDA7297の最大使用電圧限度は18V。。。
電流容量を稼ぐためにNJM7815パラレルで使用した。
そして電源インピ-ダンスを低くし、良音を作り出すためMOSFETでLDOとした。
出力電圧は約13.5Vとしました。

2021年4月25日日曜日

TDA7297アンプを作る Part7:遂に完成か!?

TDA7297アンプ

  1. 15W×2cH
  2. 電源:20V3.5Aスイッチング電源内蔵
  3. フェライトビーズとLCフィルタによるスイッチングノイズ除去
  4. 2A定電圧回路:NJM7815並列→MOSFETによるLDO
  5. アッテネッターは50kΩ,抵抗切り替え式
  6. Aliexpressで手に入れたミニアンプ用筐体
こんなパワーアンプができあがりました。
今回の制作は、筐体を出来合いのものを使ったので楽しんだ時間は、ほとんどが電源部の作成に使われたようなものでした。
電源回路は、自分で考えたもの(組み合わせただけともいう)なのでちょっと達成感がありますね。目標とした仕様のものが出来上がった(と思われる!?)ので満足しています。

ケースに入れるにあたって、スイッチング電源を筐体から浮かせるのに百均のPPシートを加工して使いました。


これを、しきりにして、ノイズフィルタ回路基板はこのシートに固定します。

外部接続端子であるスピーカ接続用のバナナプラグ端子やRCAジャック、電源スイッチ、コンセントなど、すでに加工されているケースだったのでとても楽ちんでした。

スイッチング電源の出口に、追加でフェライトコアをつけコードを1巻きしました。そしてこの後にフェライトビーズとLCによるノイズフィルタと続きます。

PPシートを仕切りとして上部にスイッチング電源,ノイズフィルタ、下部に定電圧電源部とTDA7297アンプをヒートシンクにしたL字アルミ板に固定したものを設置します。

前面パネルはアッテネッターと電源LEDのみというシンプルさ

背面パネルは、ACインレット、電源スイッチ、スピーカ端子、RCA端子

ケースに入力部のRCA端子のマイナス側をアースしようかと思いましたが、特にケースにアーシングしなくてもノイズは乗ってきていないので現状はアース接続をしていません。

ケース底面に穴をあけたくないので、このままノイズが出なければ、仕切り板にしたPPシートとL字アルミ板は両面テープでケースに固定しようかと思っています。

今はまだ、固定していない状態です。試聴と特性測定してから完成とするつもりです。







TDA7297アンプを作る Part6:定電圧回路

電源部の見直し

TDA7297をドライブするための2A程度の容量のある安定化電源を考え直すことにしました。

3端子レギュレータの7815シリーズの許容電流は通常1.5A以内です。これだと微妙にオーバーしてしまうことになるので、何か考えなければいけません。

安直に並列接続すればなんとかなるかなと思い、ネットを探したら、出力にダイオードを使って並列動作させる方法がありました。

面白そうなので、試してみることにします。

出力に使うダイオードは、TDA7297キットについてきたものを無駄なく使うことにしようと、スペックを調べてみました。最大2Aのもののようです。

VFは小電流だと0.7V程度、1Aを超えると1.0Vと大きくなります。つまり並列するNJM7815の出力電圧の差が最大0.3Vの範囲で協調しあえる可能性があるということと考えました。

でも、なるべく同じ出力電圧の7815を使いたいので、2(GND)に1N4007ダイオードを選別挿入して微調整しようと思います。まぁ、うまく3Aまでとはならずとも2A程度の容量は持たせたいなと思います。そんなに大音量で聴くことはないのですが・・・安心料といったところでしょうか。


そして、ここからが大事なところです。出力インピーダンスを下げるために、この後にもうひとつ定電圧回路を付け加えます。

NチャンネルパワーMOSFETとTL431を使ってLDO回路としてみます。

Gateをオンにするのに出力電圧よりも2V以上高い電圧が必要になりますが、これは先の3端子レギュレータより前の電圧を使います。

入力電圧と出力電圧の差が最大1.4V程度ですのでMOSFETの消費電力も少なくなり、出力抵抗も小さくなるはずです。これが音にどんな影響を与えるのか、楽しみですね!



こんな回路図になりました。

7815にて約4V程度のシリーズ電圧:1.5Aで4W
(パラレルにしているので理想的な状態なら2W×2の熱損)
MOSFETで約1.5Vのシリーズ電圧:1.5Aで2.25W

の熱損失となりますので、なにかしらの放熱が必須となります。ケースに直接放熱も考えましたが、今回使うケースは中身だけを入れ替えてほかの用途に今後使うかもしれないことを考えるとあまり穴はあけたくない・・・・ということで・・・・

L字のアルミバーを使うことにしました。ホームセンターで探したところ30x20x3mmのL字が1mの長さで売っていました。これを12cmの長さに切出して放熱板としました。

あまり放熱しそうにもない風貌ですが・・・・('◇')ゞ

3mmのねじをそのままつけられるようにタッピングします。

ここに電源部の7815とIRLR/U3410のパワーMOSFET。それにTDA7297がねじ止めされます。基板の固定も兼ねるという構造です。あとはこのフィンをケースに張り付ければ、それなりの放熱効果が期待できそうです。

電源部をユニバーサル基板で作っていきます。基板の大きさはC基板を半分にした大きさのものを使いました。

こんな感じではんだをしていきます。

線材は、大電流を扱うのですべてで0.55mmの鈴メッキ線をつかいました。なので、隣とのショートに気を付けながら組み上げていきます。

電子負荷で1.0Aを流したところ、出力電圧が13.18Vとなっています。無負荷だと13.74Vでしたので、0.56Vの電圧変動となります。ざっくり出力抵抗は0.56Ωといったところになると思われます。

アンプ基板も設置しました。これでお楽しみの試聴ができるようになりました。

さっそくスピーカーをつないで聴いてみました。

一聴して中音・ボーカル領域の透明さや柔らかさを感じます。アナログAB級というのが効いているのでしょう。良かった自分の好きな音です。

放熱版も、普段のリスニング音量では全然熱くなりません。わざわざ7815を並列にする必要もなかったかもしれませんね。


2021年4月24日土曜日

TDA7297アンプを作る Part5:アンプ基板

先に、TDA7297の3番ピンと13番ピンに別々に電源を供給すると書きました。
もしも、3番ピン、13番ピン2CHそれぞれで電源が分離できればと考えたわけです。

やってみました。それぞれに15Vに安定化された電圧を加えてみます。

まず、3番ピン、13番ピン、それぞれに電圧を与えます。

当然ですが、きちんと音がでます。 まぁ当たり前ですね。

ここで、13番ピンの電圧を切ってみます。

左右から音がでます。。。。

ここでどちらか1CH分しか音が出ないことを期待したのですが・・・そうはいきませんでした。それで、一応、13番ピンのみに電圧を与えてみます。

音が出ません。・・・・・・・

そして、ICが過熱しだしました。
どうやら、壊してしまったようです。

残念です。がっかりです。

ICを取り替えました。3番ピン、13番ピンにそれぞれ電源を供給する案は廃案です。

JXの所は素直にジャンパで結びました。先につけておいた3番ピン、13番ピンの0.1μFと2700pFのバイパスコンデンサはそのままつけておくことにします。それぞれのICのピンそばに設置してあるので、一応無駄にはならないことを信じます。

そうすると、電源部分を考えなくてはいけません。

3端子レギュレータを使ってそれぞれに電源が供給できれば、1.5A×2でうまくいくと思っていたので・・・・・

それではと、3端子レギュレータの並列接続できれば・・・・
でもそれは、どうやら御法度らしいのです。

やるならこんな方法でとのことですが、それぞれの出力電圧に微妙に差があるので、どちらか一つに電流が偏ってしまう。

少し考えてみることにします。。。。

2021年4月18日日曜日

TDA7297アンプを作る Part4:アンプ基板

TDA7297は頑張ればユニバーサル基板に取り付け可能ですが、足がもつれてしまいそうな実装になってしまうので、お安く手に入るキットを使うことにしました。

入手したTDA7297キット


VCCの3番ピンと13番ピンにそれぞれパスコンを設置

それぞれに近いGNDパターンのレジストを削ってチップコンデンサをつけられるようにする
0.1μFと2700pFのチップコンデンサを設置


電源部バイパスコンデンサ


キットを組み立て

カップリングコンデンサは手持ちのフィルムコンデンサを使います。
ミュート遅延用の10μFと47kΩ抵抗は付属のものを使いました。

JX(ジャンパ)のところは、ICの3番ピンと13番ピンにあたるところで、ここから別々に電源を供給しますのでそれぞれにピンヘッダを立てました。

電源部の電解コンデンサはつけません。。この基板外に設置します。

入力カップリングコンデンサ

  • ニッセイメタライズドポリエステルフィルム:1μF

入力部のカットオフ周波数

TDA7927の入力インピーダンスがTypicalで30kΩなのでカップリングコンデンサ(1μF)との組み合わせでは、-3dbが5Hz程度となる。



周波数特性としては十分な容量と思われます。

さて、問題はこの基板に供給する電源です。予定としては15V程度に安定化された電源を、3番ピン、13番ピンに個別に供給する予定です。
定電圧源とすれば、少なくとも可聴域では十分低インピーダンスとなり大容量電解コンデンサは不要となるはずですが・・・・

音の良しあしは好みに合うかどうかで変わってくるので。。。楽しみでもあります。




TDA7297アンプを作る Part3:ノイズフィルタ作成

スイッチング電源のノイズフィルタ

LCフィルタの定数
  • インダクタ:1.5mH程度
  • コンデンサ:22uF

で計算すると


となります。スイッチングノイズが60kHz付近にまとまってありましたので、その部分をみると約ー70dbの減衰量となっており十分と思われます。

前段にフェライトビーズを入れてEMCの除去を期待しますが、手持ちのものの最大電流容量が1500mAと少ないので2個並列で使うことにします。

回路図

フェライトビーズとLCで2段構成としましょうか。


使用部品

フェライトビーズ

参考・定格表

電流容量が1500mAがMaxですので、今回はふたつを並列にして3A対応とします。

インダクタ

アミドンFT50-75に0.55mmのUAEを25回巻

インダクタンス

1.73mH(0.6Ω)となった

と、いきなり完成基板です。部品はチップ部品を主に使ったので見た目はスカスカですねぇ。(笑)

この基板に、アルミ電解コンデンサも載せられそうですが、680uF,25V品なら6ケ!
今後どうなるかまだ未計画なので実装しないでおくことにします。

特性の実測

フィルタがちゃんと機能しているか確かめます。
まずは、フィルタを通さない素のままの・・・

60kHz付近のノイズが目立ちます。約6mV近くまでノイズがあるようにみえます。

ノイズフィルタを通すと・・・・・・
効いているようです。
スパイク状の出っ張りがかなり小さくなっています。